AEFA設立20周年を迎えた2024年、ベトナムから、AEFAのプロジェクトパートナーであるCSDのアインさんたちが来日しました。これに伴い東京フォーラム、山形ワークショップ、図書館や学校訪問、その他さまざまな交流プログラムが実施されました。AEFAフレンド会報38号で、アインさんたちが来日した十日間を特集しています。会報に掲載しきれなかった写真、山形ワークショップ会場の様子、アインさんたちのメッセージ動画や、AEFA理事長 亀井のコメントなどをご覧ください。
・ベトナムの山岳少数民族への関心の高さ
十日間に行われたイベントや交流の機会に参加してくださった方は全部で数百人にもなります。どの会場でも、アインさんの語るベトナム山岳少数民族の現状とCSDの取り組みに対して、「少数民族の暮らしや言葉についてもっと知りたい」「少数民族の子どもたちの課題を踏まえた教育プログラムの具体的な狙いは何か」「CSDの皆さんの思いの源泉は何か」「活動をしていてうれしかったのはどんなことか」「子どもたちはどんなふうに変わっていくのか」「周囲の変化についても聞きたい」「将来に向け、CSDはどんなことをしていきたいか」などなど、たくさんのご質問をいただきました。現状を初めて知った、とか、知ってはいたが具体的なエピソードが聞けて心の深いところに響いた、という声、AEFAとCSDの活動をずっと応援してきたけど、あらためてよいことに関わってきたと確信した、といううれしい声もいただきました。ベトナム山岳地域のモン族の少女たちを描いた映画『霧の中の子どもたち』を観たよ、という声も。皆さんの関心の高さに一番驚き喜んだのはもしかしたら僕かもしれません。
・アインさんたちが感じた日本人のやさしさ
アインさんとその夫のヒウさん、お二人のご子息カロット君、CSDスタッフのマイホアさんは、山形でホームステイを経験しました。AEFAメンバーが山形イベントの共催団体の皆さんと懇親会をしていたとき、アインさんがホームステイ先でスイカ割りを初体験している様子がスマホに送られてきました。とっても愉しそうで、こっちの懇親会もさらに盛り上がりました。
山形で訪問した小学校では、アインさんたちを歓迎し、仲良くなるプログラムを小学校6年生の子どもたちが準備してくれていました。けん玉、オリガミ、射的などの模擬縁日や、ドッジボールに鬼ごっこなど、楽しい企画ばかり。ベトナムから来たみんなにはどれも初めての体験ですが、小学生たちがいろいろ教えてくれて、すぐに言葉の壁を越えて一緒に楽しむことができました。(実は僕も童心に帰って一緒に思い切り楽しみました。)
ホームステイ先や小学校での心のこもった歓迎に、アインさんたちは日本の皆さん一人ひとりのやさしさを実感したと語っています。温かく迎えてくださった皆さん、本当にありがとうございました。
・人と人との対話から生まれるもの
どのイベントも、参加されたのは多様な方たちでした。ゼロ歳児を連れたお父さんとお母さん、小学生から大学生、若い世代から高齢者まで。また、山形では参加者の半数近くが外国籍の方々でした。ワークショップなどでの対話を通じて、年齢や国籍ではなく一人ひとりの個性に向き合う体験をしていただけたのではないかと思います。たとえばヒウさんは最初は単なるベトナム人のヒウさんだったかもしれませんが、対話を通じて、広告業のかたわらCSDをサポートする頼もしいヒウさんであり、学校や図書館の装飾の美しさに格別のこだわりを見せるヒウさんであり、人の集まる場を楽しいものにするデザインを教えてくれるヒウさんになりました。それは他の人も同じ。対話を通して誰もが一人ひとりの名前と顔が思い浮かぶ関係になっていました。
色に例えるなら、ある色がどんなに美しくてもその一色で塗りつぶすのではなく、別の色にはまた違う美しさがあり、いろんな色を並べたり重ねたりすることでさらに深く力強い美しさが生まれるのだと思います。互いにひとりの人として対話することが、社会としての豊かさや鮮やかさにつながるのではないでしょうか。山形のイベントで特にそれを強く感じました。
・「また会おうね」を未来につなぐ
東京フォーラムはAEFA事務局だけでは実現できない規模のイベントでした。準備や運営において多くのボランティアのご協力をいただき、かたちにすることができました。山形ワークショップも、当日の進行やプログラムに協力くださった方々のおかげで、実り多いイベントになりました。
山形県IYEO・MSYの皆さんといっしょに山形ワークショップを企画、運営したことは、私たちAEFAが新たな世界に一歩踏み込む大切な機会となりました。NPOなどの市民社会組織にはそれぞれにミッションがあり、得意なことも異なっていて、何かを一緒にやるというのは現実にはなかなか難しい。だからこそ、7月のイベントを共同開催できたのはとても素敵なことでした。同じ社会を目指す同士、また一緒に何かができることを楽しみにしています。
ベトナムに帰るアインさんたちと交わしたあいさつは「See you」、僕の感覚でいえば「また会おうね」です。山形でお世話になった方たちとの別れの言葉も「また会おうね」でした。東京フォーラムでもドナーとの交流でも、ご一緒した方たちはどなたも別れ難い方たちばかりでした。
「また会おうね」には、今日でおしまいではなく、また会って何かができるといいね、という気持ちが込められていると思います。それぞれの気持ちを未来につなげていきたいと思います。
アインさんたちのメッセージ動画
(日本語字幕:AEFA理事 坪井)
山形在留外国人と日本人の交流プログラムとして開催された「山形ワークショップ」。これに参加したアインさんや、アインさんとともに来日したヒウさん(アインさんの夫としてCSDの活動をサポート)、CSDスタッフのマイホアさんが、ワークショップの感想や今後への思いを語ってくれました。
山形ワークショップ
中高生グループ参加者からのレポート
山形ワークショップでは「未来の図書館」をテーマにいくつかのグループに分かれて話し合いました。中高生グループの話し合いの様子を、同グループに参加した伊藤誉さんからご報告いただきました。
❝ ワークショップの時間が少し押してしまったので3グループとも大まかなアイデア説明になってしまいましたが、本当はもっと沢山の発想豊かでとても面白い案が飛び交っていました。幼稚園生グループからはお母さんにゲームをしてもバレない部屋や、ドローンが飛んでいる部屋、小学生グループは本を楽しめるおしゃれな空間など実際にあったら素敵だと思う案がありました。これらの案を大人の参加様達に共有できなかったことは心残りですが、全体的にとても満足度の高い、面白い体験ができたと思います。
子供チームは中高生、小学生、そして幼稚園生の3グループに別れました。私は中学生2人と高校生2人の計4人グループでした。ワークショップのテーマ「みんなで未来の図書館を考える」に沿ってチームごとに多種多様な案が飛び交っていたと思います。
各チームが図書館の1フロアを担当するという形で、中高生チームは2階を担当することになりました。エントランスのある1階や最上階の3階とは違い、間のフロアだということから構造やテーマに悩みました。はじめは個人で「こんな機能があったらいいな〜」という案を考え、ある程度の時間がたったら共有をはじめました。読み聞かせ機能や、本の転送システム、読んだ本に書かれた食事を味わえる食堂など、今まで聞いたことのない発想がたくさんありました。ポストイットに案を書いて共有したので、一人一人の出した案を分析すると性格がわかって面白かったです。テクノロジーに興味がある人や、人との対話を大事にする人など、普段接点のない者同士が大いに関われた機会だったと思います。
話し合いの結果、廊下ではVR空間をメインに読んだ本の音や視覚などが体験できるようにし、食堂や対話スペースも設置することでユニークかつ面白いフロアになると考えました。また、本の内容を実体験してみたいという案も採用しました。
以上の案をもとにフロアの間取り図を描き、そこに各部屋の内容やデザインを大まかに描きました。中学生の2人が色をつけて絵を華やかにしてくれたのも嬉しかったです。❞
中高生グループのポストイット案
最終的な間取り図
山形ワークショップ 小学生グループによる話し合いの成果
小学生グループからも未来の図書館について素敵なアイデアがたくさん発表されました。
山形県立図書館見学の様子
山形ワークショップに参加する在留外国人の方向けに、山形県立図書館見学会が行われました。図書館員の方には、施設や図書検索機の使い方、利用状況や利用方法について説明をしていただきました。図書館に興味を持った外国の方々に対し、利用カード作成のサポートもしていただきました。
共催団体・協力団体
共催:山形県青年国際交流機構 山形県IYEO(International Youth Exchange Organization)
1959年から始まった内閣府(総務庁・総理府)が実施する青年国際交流事業の参加者を中心に、山形県在住者を中心とする多様な会員が集まるボランティア団体です。内閣府事業の県内受入れの際、実行部隊として、県と協力して受入れ事業を運営したり、多文化共生社会を、日本・世界中の多様な世代の仲間と一緒に実現していこうと活動しています。
協力:MSY在山形ベトナム人協会
MSYは、笑顔になれるコミュニティをみんなでつくるため、日本で生活する外国の方の支援や、交流を行っています。もっと日本を知りたい!日本語を話してみたい!という外国の方と、オンラインで会話をするボランティアさんも募集しています。こちらをご覧になって日本語会話ボランティアに興味をもった方は、AEFA事務局までお問い合わせください。